●新藤宗幸著『政治主導──官僚制を問いなおす』/筑摩書房/2012年2月発行
政治主導。近頃よく聞かれる言葉だが、意外とその意味するところは曖昧だ。本書は行政学の研究者があるべき「政治主導」のあり方を探究したものである。 著者によれば「政治主導」の確立に問われる主要な論点は五点ある。 「政治主導とは執政部(内閣)指導である。ゆえに首相指導体制を強化すること」「同時に内閣のなかに明確な司令塔を構築すること」「環境の変化に柔軟に対応できるよう各省行政組織の編成権限を内閣の権限とする」「政権と各省政権チーム、政権党との関係を整除する」「行政組織における職位の権限と責任を法的に明確化する」……の五つである。 以上の論点からみれば、民主党政権の公務員制度改革は、官僚制をそのままにして全体を飲み込もうとしている点に無理があり、厳しい批判の対象となる。 全体をとおしてとくに目新しい論点が提起されているようにも思えなかったけれど、無批判に使われることの多い「政治主導」なる概念を整理するうえでは有意義な本といえるだろう。
by syunpo
| 2012-03-10 20:35
| 政治
|
Comments(0)
|
検索
記事ランキング
以前の記事
カテゴリ
全体 思想・哲学 政治 経済 社会全般 社会学 国際関係論 国際法 憲法・司法 犯罪学 教育 文化人類学・民俗学 文化地理学 人糞地理学 地域学・都市論(国内) 地域学・都市論(海外) 先史考古学 歴史 宗教 文化全般 文学(小説・批評) 文学(詩・詩論) 文学(夏目漱石) 文学(翻訳) 言語学・辞書学 書評 デザイン全般 映画 音楽 美術 写真 漫画 絵本 古典芸能 建築 図書館 メディア論 農業・食糧問題 環境問題 実験社会科学 科学全般 科学史 生物学 科学哲学 脳科学 医療 公衆衛生学 心理・精神医学 生命倫理学 グリーフケア 人生相談 ノンフィクション ビジネス スポーツ 将棋 論語 料理・食文化 雑誌 展覧会図録 クロスオーバー 最新のコメント
タグ
立憲主義
クラシック音楽
フェミニズム
永続敗戦
ポピュリズム
日米密約
道徳
印象派
マルチチュード
テロリズム
アナキズム
想像の共同体
古墳
イソノミア
社会的共通資本
蒐集
闘技民主主義
厳罰化
規制緩和
AI
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||