●村上龍、坂本龍一著『村上龍と坂本龍一 21世紀のEV.Café』/スペースシャワーブックス/2013年3月発行
村上龍と坂本龍一の対論、それにゲストを加えて一九九八年から一九九九年にかけて行なったトークセッションの記録が計七篇。巻頭に二〇一二年に語りおろした村上龍と坂本龍一の対談を収めている。ゲストとして参加しているのは、北野宏明、浅田彰、伊藤穣一・竹中直純、赤尾健一、塩崎恭久。一九八〇年代に刊行された前回の『EV.Café 超進化論』が、柄谷行人、蓮實重彦、山口昌男、浅田彰ら錚々たる顔ぶれだったのに比べると、今回のゲスト陣はいささか小粒といったら失礼か。また座談後十年以上が経過しているということもあって、伊藤・竹中とのインターネット論や塩崎を迎えての政治談義などは賞味期限切れの感なきにしもあらず。 そのなかでかろうじて面白く読んだのは、前回に続いて登場している浅田彰との鼎談。世紀末における世界の動向を政治・経済・文化・思想の諸観点から大掴みに交通整理していく浅田の手際はそれなりに振るっている。悠久の生物史・人類史を踏まえたうえで(単なる現状追認ではなく)「偶然の選択であっても、これでいいのだと肯定できる思想」を、ニーチェやドゥルーズや赤塚不二夫を引いて語っているくだりが印象に残った。
by syunpo
| 2013-04-26 22:10
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