●徳善義和著『マルティン・ルター ──ことばに生きた改革者』/岩波書店/2012年6月発行
ドイツの片田舎に生まれた若き修道士の探究心がヨーロッパのキリスト教史のみならず社会全体を大きく塗りかえた。ことばに生き、Reformationを牽引した改革者。本書はマルティン・ルターの生涯をあとづけた初学者向けの評伝である。 ひたすら聖書を読み続けたルター。聖書をドイツ語に翻訳したルター。民衆に語りかけたルター。歌うルター。……ルターの様々な相貌を外連味なく素描する著者の筆致は、庶民にもわかることばでキリスト教のあるべきすがたを論じようと努めたルターにふさわしい。 またドイツ農民戦争との関わりや、のちにヒトラーに悪用されるユダヤ人をめぐる発言など、ルターのネガティブな面にもきちんと言及している点で信頼のおける入門書だと思う。 読み、書き、歌うこと。そこからしか革命は起きない。──佐々木中の熱いテーゼを裏付けるかのようなルターの劇的な人生の軌跡を手っ取り早く知るには最適の一冊といえるかもしれない。
by syunpo
| 2013-05-18 09:05
| 宗教
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