●手嶋龍一、佐藤優著『知の武装 救国のインテリジェンス』/新潮社/2013年12月発行
このコンビによる対談集としては三冊目にあたる。〈激流〉のタイトルが振られた前半は時局解説、後半は〈深層〉と題してインテリジェンス全般に関する問題を論じ合っている。 手嶋の発言は総じて退屈だが、佐藤が「大国は新しい帝国の形態をとらなければ、生き抜いていけない」と繰り返し唸っているいるあたりにラスプーチン節が出ているというべきか。もっともその主張じたいはネグリ=ハートの〈帝国〉論をベタに裏返しただけのものであるが。 対談本の常ながら一冊の書物としてはまとまりを欠く上に、インテリジェンスのプロたる自分たちこそが世界情勢の機微に通じているのぢゃよという調子の安っぽい語り口にシラけさせられる場面も少なくないけれど、シリーズ化されているところをみるとこの種の政談に対するニーズは一定程度存するのだろう。 ちなみにカバーには〈ニュースを鵜呑みにしていては、深層はつかめない〉と記されている。そういう手嶋も大放送局の碌を食んでニュース番組に携わっていた人間なのだから、その意味では本書の内容もまた鵜呑みは禁物。
by syunpo
| 2014-09-11 19:16
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