訴えられたことのない物書きなど信用しない〜『わが筆禍史』

●佐高信著『わが筆禍史』/河出書房新社/2017年8月発行

b0072887_18135082.jpg 辛口批評で知られる佐高信は、あちこちでトラブルを起こしてきたらしい。訴訟騒ぎも一つや二つではない。「一度も訴えられたことのない物書きなど、私は信用していない」とまで佐高はいう。本書はそんな人騒がせな物書きがこれまで体験してきた「筆禍」の数々について書き記したものである。

 佐高の喧嘩相手となった人物は左右両翼にまたがっていて多士済済である。日向方齋、渡辺恒雄、木村剛、渡辺淳一、中坊公平、猪瀬直樹……。日本共産党ともあるイベントをめぐって一悶着あったらしい。

 生々しい事象を扱っているので、佐高の言い分のみを鵜呑みにするわけにはいかない。共産党批判などいささか粗雑で紋切型という気がするし、下品な表現も少なくないように思われる。が、本書をとおして、メディア側の萎縮や自制なども浮かびあがってきて、それなりに社会的価値を有する本になっていることは確かである。

 小渕恵三が首相をつとめていた時の挿話が印象的。佐高は小渕に対して「オブツ」呼ばわりした文章を週刊誌に発表した。その後、さるパーティで小渕首相に遭遇する。彼は「批判する人も必要だから」と言って握手を求めてきたのだという。さて、現首相にそれだけの器量があるのかどうか。
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by syunpo | 2017-09-16 18:15 | メディア論 | Trackback | Comments(0)
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