●都留重人著『市場には心がない』/岩波書店/2006年2月発行
二〇〇六年二月に他界した経済学界の重鎮による最後の書物。「日常の時事問題に関心を寄せて、その都度ざっくばらんに所感を書きとどめる」という何十年来の習慣に基づいて書きためたものをほぼ五年ごとに小著の形で出版してきたシリーズの最終刊ということになる。 経済問題にとどまらず外交、環境問題などについても紙幅が割かれており、反市場万能主義、核廃絶の立場から自民党政権による政策を批判、これからの日本の進むべき道を指し示す。その眼目は、対米一辺倒からの脱却、成長を前提としない経済政策等にある。 新聞記事や他の学者からの引用が多く、本書で述べられる主張に新味はない。もっとも、著者に長らく付き合ってきた読者ならば、辞世の書として感慨深く読むのかもしれない。 なお書名は、ポール・サムエルソンの言葉から採ったものである。
by syunpo
| 2007-05-04 19:11
| 経済
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