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人間国宝が語る芸の世界〜『米朝よもやま噺』

●桂米朝著『米朝よもやま噺』/朝日新聞社/2007年12月発行

人間国宝が語る芸の世界〜『米朝よもやま噺』_b0072887_9421510.jpg 桂米朝の記した書物はその高座同様に滋味にあふれている。とりわけ青蛙房の『上方落語ノート』シリーズや講談社文庫に入っている『米朝ばなし〜上方落語地図』は、上方落語ファンなら必読必携の名著だ。
 最近刊の本書は、ラジオ番組でのトークを原稿に起こし朝日新聞大阪版に掲載したものを一冊にまとめたものである。話し言葉がそのまま文字になっているので、高座でのマクラを聴くノリでリラックスして読める。

 書名が示すとおり本書の内容は四方山話そのもの。戦前から活躍した芸人の楽屋話や弟子のエピソード、他の分野の人々との交友録や大阪の思い出話やらで、思いつくまま気の向くままの語りが展開される。
 米朝は、大正一四年の生まれで芸歴は六〇年を超え、すでに数人の弟子を見送ってきた身でもある。枝雀や歌之介、吉朝などに触れたくだりでは亡き弟子への愛惜の情が感じられて、とりわけ味わい深いものであった。
by syunpo | 2007-12-20 09:45 | 古典芸能 | Comments(0)
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