●篠原一著『市民の政治学』/岩波書店/2004年1月発行
本書は、現在の世界状況をウルリッヒ・ベックの概念に基づいて「第二の近代」と規定し、そこにおける「新しい社会運動」に焦点をあてたものである。 「第二の近代」はいかにあるべきか。その基盤となる「市民社会」のあり方をめぐってはこれまで多くの概念やモデルが提唱されてきた。本書はそうした知見の概説書・入門書という色合いが濃い。 市民社会活性化の理論的モデルとして、ユルゲン・ハーバーマスらが提唱した「討議デモクラシー」、ピエール・ブルデューやジェイムス・コールマンのいう「社会関係資本」論などが紹介されている。 著者が重視する「討議デモクラシー」の実践例では、「討議制意見調査」「コンセンサス会議」「計画細胞」「(政策課題を議論するための)市民陪審制」などが取り上げられている。 従来の代議制デモクラシーを補完するものとして「討議デモクラシー」の制度化を目指すことに特に異存はないが、わが国にあっては未成熟な代議制デモクラシー本体の実効化に議論・模索すべき点が多々残っているように私は思う。
by syunpo
| 2008-03-02 19:01
| 政治
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