●宮田律著『イスラムに負けた米国』/朝日新聞社/2007年7月発行
世界は、二〇〇二年の九・一一を境に、それ以後の世界のあり方を議論したり、解説したりすることには熱心だが、それ以前にアフガニスタンの状況がどうであったか、そこで何が行われていたのか、私を含めて多くの日本人はほとんど何も知らないだろう。 本書は、イスラム政治史を専攻する著者が、イスラム世界と他の世界との関係、主に米国との対立関係を歴史的に遡って概説したものである。 その趣旨には惹かれるものがあったのだが、内容的には些か期待はずれだった。学生のレポートのような無味乾燥な記述と重複の多い未整理な文章のために、読み通すのはよほどこの問題に関心を寄せている読者だけに限られてしまいそうな出来なのが残念。インドネシアやパキスタンなどイスラム教徒の多い国家を訪問して得た現地の知識人・宗教指導者の発言も概して月並みなもので、とくに新たな視座を得るということはなかった。
by syunpo
| 2008-06-01 12:57
| 国際関係論
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