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読書という歓び〜『世界の不思議な図書館』

●アレックス・ジョンソン著『世界の不思議な図書館』(北川玲訳)/創元社/2016年4月発行

b0072887_20164126.jpg 文字どおり世界中の不思議な図書館を集めた図書館ガイドというべき本。写真がふんだんに使われているのでパラパラとページをめくっているだけで楽しい。〈旅先の図書館〉〈動物図書館〉〈小さな図書館〉〈大きな図書館〉〈ホームライブラリー〉〈移動する図書館〉〈意外な場所の図書館〉の七つにカテゴリー分けした章立てで、それぞれにユニークな図書館を紹介している。

 世界初の空港の常設図書館は二〇一〇年にアムステルダム・スキポール空港に開設されたものという。駅の図書館はそれに比べるともっと一般的かもしれない。マドリードの地下鉄図書館はなかなか洒落たデザイン。またテルアビブのレビンスキー公園の公共の防空壕そばにある図書館は総合芸術のチームと移民支援プロジェクトの共同によるものである。

 動物を利用した移動図書館の実例には、ロバやラクダ、ゾウなど様々なスタイルがある。小さな図書館としては、使用されなくなった公衆電話ボックスを利用したものは世界各地にあらわれているし、公園や街角に設置されたリトル・フリー・ライブラリーの実例も愉快だ。

 ドイツのルッケンヴァルデでは駅舎を再利用、新たな建物を増築して図書館として活用している。銅アルミニウム合金の板で覆われた外装が印象的。韓国のナム・ジュン・パイクのビデオ・ライブラリーはいわば図書館の進化形といえばよいか。

 ホームライブラリーの分野では、日本のデザインスタジオnendoが設計したガーデンライブラリー「絵本の家」が紹介されている。意外な場所の図書館としては、オスマントルコの浴場の廃墟を利用した臨時図書館がおもしろい。

 識字率の低い地域での図書館は、いわば司書たちは教師がわりに読書のリテラシーや本の楽しさを伝えようとしている活動が目をひく。本を読むことは知的な営みだが、本を読む環境を整えるという過程もまたそれに劣らず知的な営為というべきなのだろう。本書をとおして、図書館は人間が生きていくうえで重要な役割を果たす人間的な空間なのだということがよく理解できる。
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by syunpo | 2016-08-03 20:22 | 図書館 | Trackback | Comments(0)