ブックラバー宣言


コラムニスト・吉本俊二の書評ブログです。
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風刺の向こう側にみえる真実!?〜『まんが政治VS.政治まんが』

●佐藤正明著『まんが政治VS.政治まんが ──七人のソーリの一〇年』/岩波書店/2016年8月発行

b0072887_85533100.jpg 近頃の日本の政治はまんが化してきた。ブラックジョークとしか思えない言葉が真顔で論戦の場に吐き出される。与太郎レベルの珍問答が政治の表舞台でふつうに披瀝されてしまう。本書の対象期間でいえば、小泉純一郎の「自衛隊の行くところが非戦闘地域だ」という人を食ったような答弁がその先がけといえるだろうか。本来なら一斉にツッコミが入るはずだが、そのまま通ってしまった。宮台真司的に言うなら「ネタがベタになってきた」。

 現実の政治がまんが化すると、まんが家の仕事は楽になるのか、それともかえって難しくなるのだろうか。とにもかくにも、そういう時代に、中日新聞・東京新聞・西日本新聞に連載された政治風刺まんがが一冊の本になった。二〇〇五年九月から二〇一六年七月までの間に掲載された作品のうちの選りすぐり一七〇点を収録。それぞれのまんがには政治部長の金井辰樹による解説が添えられている。本書を読めば過去一〇年間の政治動向をたのしく復習することができるだろう。

 末尾には「『まんが政治』を実践して『政治まんが』に貢献した首相」たちへの「まんが政治大賞」ランキングが掲げられている。三位は独特のダンディズムを体現しつつ「KY(漢字が読めない)」ぶりで話題を集めた麻生太郎。二位は破天荒な演説と答弁でまんが的劇場型政治を具現化した小泉純一郎。さて一位は?……本書を読んでのお楽しみといっておこう。
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by syunpo | 2016-11-13 08:57 | 漫画 | Trackback | Comments(0)