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民主主義を超えて〜『柄谷行人インタヴューズ2002-2013』

●柄谷行人著『柄谷行人インタヴューズ2002-2013』/講談社/2014年3月発行

b0072887_19135779.jpg 柄谷行人の単行本未収録インタヴュー集の第二弾。二〇〇二年から二〇一三年にかけて行なわれたもので〈資本制=ネーション=ステート〉の三位一体構造を揚棄するための考察を本格化させた時期に相当する。自著『トランクリティーク』から『世界史の構造』『哲学の起源』までの内容に沿った話が中心。また東日本大震災に伴う原発事故のあと日本でも活発化したデモに関する発言も多くなっている。これまでの著作をすでに読んだ者にとってはさほど新味はないが、最近の柄谷の問題意識を手っ取り早く知るには好適な本といえよう。

 そのなかで、既刊書ではあまり触れられていないバウハウスに言及する「X-Knowledge HOME」特別編集三号(二〇〇四年十月)初出の〈アソシエーションとしてのバウハウス〉は特筆すべきかもしれない。柄谷哲学のキーワードの一つともなっている「アソシエーション」をバウハウスに見出そうとするもので、『隠喩としての建築』の著者らしい発言が随所にみられる。柄谷によれば、バウハウスは先生と学生が対等な関係にあるような学校であり、職人と芸術家が対等な関係にあるようなアソシエーションの運動であった。またこのような「集団的な創造」=「アソシエーション」という視点から、室町後期以降の俳諧連歌や芭蕉の連句にも注目する柔軟さ奔放さもまた柄谷の思索の特長といえるだろう。

 人文書の危機から説き起こす〈可能なる人文学〉(「論座」二〇〇七年三月)では、人文学全般についての柄谷の所感が存分に披瀝されている。いくつかのテクニカルな問題に触れつつ、人文学を「この世界を変えようとする志向」として捉えている点は実に明快。
 移動を伴う批評性への論及した〈「トランスクリティーク」としての反原発〉(「小説トリッパー」二〇一二年三月)、古代ギリシアのデモクラシーとイソノミアを対比させる「哲学の起源」について語った〈民主主義を超えて、イソノミアの回帰を〉(「週刊読書人」二〇一三年一月四日)なども含蓄豊かな内容である。
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by syunpo | 2014-08-21 19:21 | 思想・哲学 | Comments(0)
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