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ブックラバー宣言

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体内にもう一つの生きものを宿す〜『ゴミの日』

●アーサー・ビナード著『ゴミの日 アーサー・ビナード詩集』/理論社/2008年7月発行

b0072887_1940145.jpg 理論社の『詩の風景』シリーズのなかの一冊。アーサー・ビナードの詩を読んだのは初めてだが、古川タクの絵ともども愉悦感に満ちた楽しい詩集。現代詩に特有の晦渋なところは微塵もない。とはいえ科学文明や世知辛い時勢に対するクリティカルな視点も随所に織り込まれているので油断ならない。素朴な人生讃歌とは一線を画す詩の言葉がここにはあるように思う。

 オタマジャクシからトノサマガエルに変化していく言葉遊びの愉快な《トノサマガエルになる》。ラストにピリリとスパイスを利かせた《ねむらないですむのなら》。「人間の心のなかには/埋立処分場がない。」で始まる《おりたたみ》のおもしろみ。複数の言葉を操る著者の想いが込められた《絶滅危惧種》。日本の葬式にもなれたぼくが遺影におさまってしまう《おさまり》。高度情報化社会にアイロニカルな目を向けた《マイクロチップ》。

 あなたがした
 ちいさないやなこと
 あなたがおとして
 きづいてもいない
 くらいちいさな
 ゆるせないことの
 いちもんいちもんを
 そっとこころの
 からくりばこに
 しまっておこう
 わたしがこころの
 むいちもんになった
 ときのために
 (p30~31《へそくり》)


 日本語を母語としない人のこんな詩の言葉が日本語の「からくりばこ」に新たな輝きと豊かさをもたらしてくれているに違いない。
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by syunpo | 2014-09-18 19:59 | 文学(詩・詩論) | Comments(0)
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