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ブックラバー宣言

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簡単に結論に飛びつかないためのレッスン〜『考える方法』

●永井均、池内了、管啓次郎、萱野稔人、上野千鶴子、若林幹夫、古井由吉著『考える方法 中学生からの大学講義2』/2015年2月発行

b0072887_21282891.jpg ちくまプリマー新書編集部と桐光学園とのコラボレーション〈中学生からの大学講義〉シリーズの一冊。「大学で何を学べるのか」をテーマに、知の最前線にいる研究者たちが中学生を相手に講義した記録である。登場するのは、永井均、池内了、管啓次郎、萱野稔人、上野千鶴子、若林幹夫、古井由吉。錚々たる顔ぶれだ。

 永井の話は〈私〉が存在することの意味を哲学的に考えるためのヒントを提示してかなり高度な内容。池内はニセ科学を例示しながら科学知のあり方を説く。常に疑いをもつこと、科学の知識だけでは対処できないときには安全性を優先することなどを提起する。アメリカ・インディアンの生き方から現代社会を見直そうとする管の話も示唆に富む。

 萱野は「人を殺しては何故いけないのか」という問題をカントの道徳哲学をベースに考えていく。哲学的な思考とは物事の是非を問うだけでなく、膠着した問題にいろんな角度から風穴をあける試みだという。上野はジェンダー研究の入門的な話で、さらに当事者主権の考え方を紹介していて内容は濃い。同じく社会学者の若林は社会学の「入門一歩前」を解説してその可能性をさししめす。古井は言葉について、さらには日本語の特性について作家らしい語り口できかせる。

 中学生が対象だからといって侮ってはいけない。いずれも大人の読書にも堪える中身の濃い内容といえるだろう。
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by syunpo | 2015-08-07 21:30 | クロスオーバー | Comments(0)
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