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ブックラバー宣言

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「下手くそ」だから面白い!?〜『ヘンな日本美術史』

●山口晃著『ヘンな日本美術史』/祥伝社/2012年11月発行

b0072887_912880.jpg 小林秀雄賞を受賞したということもあって手にとってみたのだが、いささか期待ハズレだった。肝心な部分の語彙が如何せん貧困かつ凡庸で「ヘンな美術史」を標榜するならもっと弾けた語彙を駆使してほしいところ。江戸末期から明治初期にかけて活躍した三人の画家(河鍋暁斎、月岡芳年、川村清雄)に再評価を試みる最終章も漱石から〈内発性/外発性〉という概念を借用してきているのだが、訴求力は今ひとつだ。

 とはいえまったく退屈したというわけでもない。たとえば有名な《鳥獣戯画》においては近代以降の絵画では前提となる「作家性」、もっと単純にいえば絵の著作者に関しては「どうでもいいと考えられて」いたらしく、その成り立ちについて語るくだりは興味深い。また雪舟の絵の顔をキュビズムになぞらえたり、長徳寺の六道絵をヘンリー・ダーガーと並べてみたり、著者ならではの「ヘンな」視点が記述に活気をもたらしている箇所もあることは書き添えておこう。
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by syunpo | 2016-04-10 09:18 | 美術 | Comments(0)
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