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平和とは一杯の飯初日の出〜『平和の俳句』

●金子兜太、いとうせいこう選『金子兜太、いとうせいこうが選んだ「平和の俳句」』/小学館/2016年7月発行

b0072887_203276.jpg 戦後七十年の節目にあたる二〇一五年、東京新聞・中日新聞は「平和の俳句」をスタートした。広く読者から作品を募集し、金子兜太といとうせいこうが選句して一面に掲載するという企画である。本書は一月一日から十二月三十一日まで掲載された句を一冊にまとめたもの。それぞれの句には選評が添えられている。

「平和」というお題だけでかくも多彩な表現が集まるのか。本書を読んであらためて抱いた感想である。それはもちろん俳句という表現の器の深さ、可能性を示しているということでもあるだろう。

 ある人は日々の何気ない営みのなかに平和を見出す。ある人は子や孫の振る舞いに平和を透視しようとする。あるいは初めてデモに参加したときの感慨がそのまま平和への言葉になる。あるいは戦争の切ない記憶が定型詩のなかに凝縮される……。

 戦前、伝統俳句からの脱却をめざした新興俳句運動はその厭戦的な作風から弾圧を受けた。俳句は単に花鳥諷詠だけではない、体制側にとっては脅威的な表現ジャンルでもあったことをあらためて想起せずにはいられない。本書は平和が脅かされる二十一世紀日本の「軽やかな平和運動」の一つの結晶といえよう。

 ひめゆりの娘らにも見せたい夏ロック(桑野厚)
 戦争はすべての季語を破壊する(二村吉光)
 千枚の青田に千の平和あり(浅田正文)

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by syunpo | 2016-07-22 20:06 | 文学(詩・詩論) | Trackback | Comments(0)
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