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キリコの震える線のように〜『創造&老年』

●横尾忠則著『創造&老年 横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集』/SBクリエイティブ/2018年1月発行

b0072887_1012348.jpg「長生きするのも芸のうち」とは演芸界でしばしば口にされる格言(?)である。早逝の天才の系譜にも惹かれるものはあるけれど、なるほど長生きしている創作家にも別様の魔力が宿っているに違いない。

 横尾忠則が八十歳を越えた年長のクリエーターたちに会って対話を交わす。本書はその記録である。登場するのは、瀬戸内寂聴、磯崎新、野見山暁治、細江英公、金子兜太、李禹煥、佐藤愛子、山田洋次、一柳慧。

 前世とか死後の世界だとかに関して熱弁をふるう横尾の死生観にはまったく共感できないが、彼の場合、一種オカルト的な想念が創作活動にうまく昇華した稀有なケースであることは確かだろう。

 老年期におけるクリエーターのおもしろい実例として、横尾はジョルジョ・デ・キリコの晩年に着目している。手が震えて、線も震えていて弱々しいけれど、それが味になっている、という話を何度も繰り返しているのが印象的。

 全体的には対談相手の話が総じて凡庸で私的にはいささか退屈なトークがつづくが、メインテーマからは少しずれる挿話ながら、故人となった金子兜太の戦争中のトラック島での深刻な体験談を「アニミズム」なるキーワードで引き出しているくだりは興味深く読んだ。
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by syunpo | 2018-05-13 10:17 | 文化全般 | Trackback | Comments(0)
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