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ブックラバー宣言

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時を超えて輝くもの〜『名画は語る』

●千住博著『名画は語る』/キノブックス/2015年1月発行

b0072887_1045949.jpg 日本画家の千住博が世界美術史を彩る名画の数々を取り上げ、それぞれの作品のみどころを解説・批評していく。千住が名画について語っているというよりも、名画が千住をして語らしめているといった方がいいかもしれない。標題もそうした意味合いを含んでいるのだろう。

 取り上げられている作品はおなじみの名品ばかりである。ムンクの《叫び》。レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》。セザンヌの《大水浴図》。ブリューゲルの《雪中の狩人》。マティスの《金魚》。ゴッホの《ひまわり》。ドラクロワの《民衆を導く自由の女神》……。

 フェルメールの《牛乳を注ぐ女》に性的な寓意を読み取ろうとするのは面白いし、ピカソの《ゲルニカ》を当時のピカソ自身の交友とも関連づけて想像力を羽ばたかせるのもやや下世話な鑑賞ながらそれはそれで興味深い。印象派の作品に関しては、随時、ジュリー・マネの日記を参照し、彼らの人間模様にも着目して作品を読み解いていくのも参考になる。

 また画家自身になりきったり、コレクターの口を借りて語るなど、叙述に工夫を凝らしているのも一興。藤田嗣治と比較しながら論じられている国吉康雄やコロンビアのフェルナンド・ボテロなどは一度じっくりと作品を観てみたいと思った。
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by syunpo | 2018-07-08 10:05 | 美術 | Comments(0)
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