ブログトップ

ブックラバー宣言

syunpo.exblog.jp

社会民主主義で政治の回復を〜『嘘に支配される日本』

●中野晃一、福島みずほ著『嘘に支配される日本』/岩波書店/2018年7月発行

b0072887_18323067.jpg 政治学者の中野晃一と社民党参議院議員・福島みずほの対談集。
 一連の公文書改竄や国会での虚偽答弁で日本の政治は嘘で塗り固められた惨憺たる様相を呈している。その割には安倍政権の支持率は思ったほど落ちない。長期腐敗政権によるやりたい放題の悪政が堂々とまかり通っている摩訶不思議な時勢である。

 安倍政権がやっているのは政治ではなく支配だと中野はいう。政治を回復するためにはどうすればよいのだろうか。

 キーワードは社会民主主義。日本の社会民主党が掲げる社民主義の理念とは、公式サイトによれば「平和・自由・平等・共生」の四つが中心となる。ただし他の主要政党でもこれらの理念を否定するところはないだろう。

 本書ではそれらに加えて、次のようなフレーズでも社民主義をアピールしている。すなわち「社会民主主義にはフェミニズムが入っている」「みんなが安心して望めば子どもを生み育て、安心して働き続け、安心して年を取ることができる社会」「構造的な抑圧を社会、政治、経済、から取り除いていくことが社会民主主義の目標」「公平な税制の実現と労働法制の規制強化が大切」……。

 率直にいって一般的なスローガンが断片的に提示されているだけという印象が拭い難い。ついでにいえば、「政治」ならぬ「支配」を受け入れているのがほかならぬ国民ということも忘れてはいけないだろう。

 というわけで二人の主張にとくに異論はないのだが、積極的に人に薦めたくなるような内容でもない。そのなかでは、中野が政治における説得の論法として、カント主義的に絶対的な価値に訴える方法と、功利主義的な打ち出し方を指摘している点は印象に残った。その観点から、社民主義の目玉政策をさらに具体的に打ち出していたなら、もっとインパクトは増したかもしれない。
[PR]
by syunpo | 2018-08-17 18:35 | 政治 | Comments(0)
<< 難解な哲学書への道標〜『誰にも... 面白い本を面白く紹介した面白い... >>