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ブックラバー宣言

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難解な哲学書への道標〜『誰にもわかるハイデガー』

●筒井康隆著『文学部唯野教授・最終講義 誰にもわかるハイデガー』/河出書房新社/2018年5月発行

b0072887_8281949.jpg マルティン・ハイデガーの『存在と時間』は難解をもって鳴る哲学書である。文学部唯野教授こと筒井康隆がその難物にチャレンジした。本書はその講演記録を書籍化したものである。

 ハイデガーは私のような哲学の素人がいきなり読んでもチンプンカンプンだが、なるほど標題どおりわかりやすい読み解きを行なっている。何より鍵言葉がやたら難しいのがハイデガーの特質なのだけれど、たとえば〈現存在〉は「はやく言ってしまえば、人間のことなんです」とみごとに噛み砕かれる。〈実存〉は「人間の可能性のこと」とこれまた単純明快。そんなざっくりした理解で良いのかと不安になるほどだ。ちなみに〈不安〉もハイデガーでは重要な概念ではあるのだが。

 補遺を寄せている大澤真幸によれば、「唯野教授の「よくわかる」解説は、『存在と時間』の理解としてまことに正確である」という。その大沢の補遺も新約聖書を参照したスリリングなもので、たいへん面白く読んだ。ハイデガーをあらためて読んでみようかなと思わせる内容で、入門書としての役割を充分に果たしているのではないかと思う。
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by syunpo | 2018-08-18 08:30 | 思想・哲学 | Comments(0)
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