高校倫理を侮るなかれ!?〜『試験に出る哲学』

b0072887_18161333.jpg「倫理」のセンター試験に出された問題を引用して、それをもとに西洋哲学の歩みを復習する。本書のコンセプトは明快である。著者によれば、高校で学ぶ倫理という科目では「西洋哲学の部分を取り出すと、入門的な内容がじつにバランスよく配置されて」いるという。この種の企画では、とかく問題の内容を批判したり皮肉ったりするようなことが多くなりがちだが、本書ではそのような態度はとらない。

 古代ギリシャ哲学から始まり、中世のキリスト教神学を経て、近代哲学へと至る道筋を手際よくまとめていく筆致は、参考書の執筆で鍛えられた著者ならではのものといえるだろう。

 ソクラテスのエイロネイア(アイロニー)を説明するのに千葉雅也の『勉強の哲学』を参照していたり、巻末のブックガイドで國分功一郎の『中動態の世界』にも言及していたり、最新の研究動向にも目配りがきいている。筒井康隆の『誰にもわかるハイデガー』までリストアップしているのも一興。とくに目新しいことが書かれているわけではないけれど、一般読者向けの哲学入門としては面白いやり方ではないだろうか。
by syunpo | 2018-11-13 18:20 | 思想・哲学 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://syunpo.exblog.jp/tb/28847847
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< 無神論の立場から個の自律を説く... 学際化がすすむ “社会科学の女... >>