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ブックラバー宣言

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現在進行形としての〜『ポストコロニアリズム』

●本橋哲也著『ポストコロニアリズム』/岩波書店/2005年1月発行

b0072887_1850551.jpg ポストコロニアリズムとは、カバーに記された言葉をそのまま借りるなら「植民地主義のすさまじい暴力にさらされてきた人々の視点から西欧近代の歴史をとらえかえし、現在に及ぶその影響について批判的に考察する思想」である。

 本書は、コロンブスのアメリカ大陸到達から筆を起こし、もっぱらカニバリズムの成立過程を検証する第一、二章、フランツ・ファノン、エドワード・サイード、ガヤトリ・スピヴァクの思想を紹介する第三〜五章、日本のコロニアリズムを論じた第六章から成る。ポストコロニアリズムの格好の入門書といえよう。

 私が特に興味深く読んだのは、前半のカニバリズムをめぐる考察だ。
 ヨーロッパ列強がいかなる大義名分のもとに「新大陸」やアジア・アフリカを植民地化していったかは、エレン・メイクシンズ・ウッドの『資本の帝国』に詳しいが、ここでは植民地化競争に遅れて参入したイギリスが先行者スペインとの差異化を図りながら、現地住民の「好意獲得」に励んだことが指摘されていて、概略ながらも植民地支配イデオロギーの重層性が理解できた。

 また日本と沖縄の関係を考えるにあたって取り上げられている目取真俊の小説『魂込め(まぶいぐみ)』にも興味を惹かれた。
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by syunpo | 2007-12-18 18:51 | 思想・哲学 | Comments(0)
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