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ブックラバー宣言

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新たな世界秩序の向こうに〜『デモクラシーの帝国』

●藤原帰一著『デモクラシーの帝国』/岩波書店/2002年9月発行

b0072887_1761966.jpg 昨今、マスメディアへの露出も増えている藤原帰一だが、ずいぶん前に出た講談社現代新書の『戦争を記憶する』の印象があまり芳しいものではなかったので、その後、その著作に接する機会はなかった。本書を読んでみてもやはり著者への評価が決定的に変わることはなかった。

 これは、冷戦後の国際社会で突出した力をもつにいたった米国を「帝国」という古典的概念で論じたものである。九・一一同時テロ事件を契機に米国が「帝国」に変貌した、米国の軍事力に依存する点において欧州やアジアの各国もまた米国の「帝国」化に加担してきた、などの認識に異存はない。が、結論的に述べられている米国を巻き込んだ国連機能の再編成・強化という提起にその具体的道筋が示されないので、いささか拍子抜けの感は否めない。

 アントニオ・ネグリ&マイケル・ハートの『帝国』が出て以降、あらためて帝国論が盛んになっているようだが、そこに割って入ろうとする著者の心意気や狙いが私には今一つ伝わってこなかった。
 ただし、随所にみられる米国映画を材にとった“カルチュラル・スタディーズ”風の分析には著者の個性が出ているように感じられ、そこに妙味をおぼえる読者はいるかもしれない。
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by syunpo | 2008-01-28 19:16 | 国際関係論 | Comments(0)
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