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ブックラバー宣言

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「編集」をめぐって〜『脳と日本人』

●松岡正剛、茂木健一郎著『脳と日本人』/文藝春秋/2007年12月発行

b0072887_18384634.jpg 良くも悪しくも、松岡正剛の唱える「編集」的な姿勢が一貫している対談集だ。
 一応「脳と日本人」というタイトルがふられているが、テーマはあってなきがごとし。「アノマリー(異質の共存性)」や茂木の専門分野の概念である「クオリア(感覚の質感)」などといったキーワードを軸にしながらも、まるで連想ゲームのように次から次へと古今東西の賢人、文人、地名が登場してきては、二人によってキャッチコピー風に評定されたかと思うと次の話題へと移っていく。
 二人の対話は雑誌のインデックスみたいなもので、一つの問題を直線的に掘り下げていくことは意識的に回避される。また現実の日本社会に生起しているアクチュアルな課題について深く言及されることも、もちろんない。松岡のいう「日本という方法」は、「全体としての再生や回復」に関心を向けたものではなく、あくまで「小さい単位でやること」に根源的な力を発揮するものらしい。
 対談の行なわれた栃木県那須町の二期倶楽部の写真(撮影=前康輔)が随所に配されてオシャレな装いが凝らされた本だが、内容的にはずいぶん薄味という感じである。
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by syunpo | 2008-02-03 18:41 | クロスオーバー | Comments(0)
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