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建築と文学の照応〜『空間の行間』

●磯崎新、福田和也著『空間の行間』/筑摩書房/2004年1月発行

b0072887_19425647.jpg 本書は、世界的建築家の磯崎新と文芸批評家の福田和也が建築と文学について語りあったものである。磯崎が「ひとつの歴史的文化的区分を代表すると考える日本建築」を提示し、それに対して「その同時代を担うような文芸、もしくは思想のテキスト」を福田が取り上げ、両者を併置・対置したときに見えてくる文脈や照応を探っていこうというコンセプトだ。

 東大寺南大門には『明月記』、伊勢神宮には『古事記伝』、厳島神社には『平家物語』といった照応は当然想定しうるものの、広島平和記念会館に『「いき」の構造』、万国博覧会お祭り広場に三島由紀夫、番外編としてヴェネツィア・ビエンナーレに村上春樹をもってくるあたりの発想に二人の面目躍如たるものがある。

 戦後民主主義の象徴的な施設ともいえる広島平和記念会館を設計したのは丹下健三だが、彼のモダニズムと九鬼周造の「いき」を重ね合わせた議論や、建築家の立場から織田信長を「突拍子もないクライアントの出現」と磯崎が評するくだりがとりわけ面白かった。
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by syunpo | 2008-03-19 18:40 | 歴史 | Comments(0)
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