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ブックラバー宣言

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陶酔と屈辱の日々〜『ハイスクール1968』

●四方田犬彦著『ハイスクール1968』/新潮社/2004年2月発行

b0072887_21242863.jpg 一九六八年、東京教育大学農学部附属駒場高校(現筑波大学附属駒場高校)に入学した四方田犬彦の高校・予備校時代の回想記である。著者の高校時代の読書遍歴を綴った『ハイスクール・ブッキッシュライフ』の姉妹編といえばよいか。

 彼に遅れること数年、俗にいう「三無主義」の時代に地方の公立高校に学んだ私のような後続世代の凡人からすれば、ここに描かれたハイスクールライフはもう別世界としかいいようがない。
 本書のハイライトは、一九六九年一二月に行なったバリケード闘争である。教駒全共闘を名乗る同級生たちとともにバリケード封鎖した教室に立てこもり、夕方に教室を抜け出して食糧を調達して戻った時にはすべてが終わっていたという逸話がイキイキと回想されていて、著者自身が「歴史のドキュメント」というだけの面白味は感じられた。

 高校時代のこうした政治闘争の「挫折」がその後の人生にどのような影響を及ぼすことになったのか、私には到底想像できない問題なのであるが、四方田はけれん味なくその問題と向き合ったように思われる。映画批評家として身をたてたことも、文筆家として徒党を組むことを拒んできたことも、高校時代の体験に基礎づけられたことが了解されるのである。
 全体的にいかにも綺麗に巧くまとめられていて、ほんまかいな、との疑念をさしはさみたくなる箇所もないではないけれど、四方田の愛読者としては大いに楽しんだ次第である。
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by syunpo | 2008-07-24 21:26 | 社会全般 | Comments(0)
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