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ブックラバー宣言

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2018年 07月 05日 ( 1 )

自民党政権から野村萬斎まで語り倒す〜『平成史』

●佐藤優、片山杜秀著『平成史』/小学館/2018年4月発行

b0072887_1992786.jpg 平成時代を振り返る。佐藤優と片山杜秀の対談集である。正直にいえばあまり面白くない。安倍政権からSEALDsまで、全体をとおして辛口の寸評が繰り出されるのだが、高みからあれもダメこれもダメと全方位的にぶった斬っていくのはこの手の対論にお決まりの仕草とはいえ、批判のしかたがいささか粗雑で違和感をおぼえる場面がけっこう多かった。

 時代の混迷の原因の一つを中間団体(におけるローカルルール)の解体という切り口で繰り返し語るのは異論はないものの、誰もが指摘していることで何を今さら感が拭えないし、社会学全般への批判も大雑把。また少子化の問題について、片山がピエール・ショーニューを引いて現代人のマインドを批判しているのも空疎な観念論というほかない。

 その一方で、橋下維新や安倍首相の政治をポストモダン的と規定してみたり、平成を代表する文化人として片山が野村萬斎を挙げてみたり、斬新な視点を提示しているつもりかもしれないけれど、私には奇を衒った印象の方が強く残る。面白味があるとすれば、佐藤の外交官時代のエピソードや永田町の下世話な楽屋話。話が具体的なぶん楽しめる。

 同種の対論としては浅田彰と田中康夫の憂国呆談シリーズが想起されるが、政治からカルチャーシーンまで世界の動きを手際よく交通整理していく浅田のスタイリッシュな語りに比べると、本書の対話はいかにもダサい感じがする。
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by syunpo | 2018-07-05 19:11 | クロスオーバー | Comments(0)